2026年7月10日
クローン病についてよくある質問をまとめました。
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Q.クローン病とは?
A.ニューヨークのマウントサイナイ病院の医師であるクローンらが1932年に最初に報告したことからクローン病と呼ばれている病気です。
クローン病は口から肛門まで消化管のどの部位にも炎症が生じる可能性があります。炎症が生じた部位では粘膜が傷ついてはがれて(潰瘍)、腹痛や頻回の下痢、血便などが現れます。
病気の原因は、遺伝的な要因に腸内細菌や食餌など様々な環境因子が重なり、通常は身体を防御するために機能している免疫に異常をきたすことでこの病気が生じると考えられています。
クローン病は、さまざまな症状がある状態を活動期、治療により症状が治まった状態を寛解期といいますが、この活動期と寛解期を繰り返すことが病気の特徴です。
さらに、経過の中で腸管が硬く狭くなったり(狭窄)腸管に孔が開いて腸管と腸管あるいは腸管と皮膚がつながったり(瘻孔形成)することがあり、薬による治療で症状が抑えられない場合は手術を行うことも稀ではない病気です。
したがって、治療により一旦寛解状態になっても、再び消化管に炎症が生じたり(再燃)、新た部位に炎症が生じること(再発)を予防する為長期にわたる治療が必要になります。
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Q.クローン病の治療は?
A.クローン病では、腸管の病変(潰瘍・狭窄・瘻孔など)の種類や、病変部位、さらには外科的治療が選択されます。
クローン病の病変は消化管のどの部位にも生じます。病変の部位により小腸だけに病変が見られる小腸型、小腸だけでなく大腸にも病変が見られる小腸・大腸型、大腸だけに病変が限られる大腸型などに分けられます。
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Q.病変の状態は?
A.クローン病の炎症は粘膜表面にとどまらず腸管壁の深くまで及ぶことから腸管に孔が開き、腸管と腸管あるいは腸管と皮膚が孔でつながる瘻孔と呼ばれる病変が生じることがあります。
また、炎症を繰り返すことで腸管が狭くなる狭窄と呼ばれる病変や、さらには狭くなった部位を食べたものなどが通過できなくなる閉塞なども起こることがあります。
クローン病は肛門部に病変を生じることも多く、肛門周囲に膿がたまったり(肛門周囲潰瘍)、直腸と肛門周囲に孔がつながる痔瘻などが現れることもあります。
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Q.クローン病の内科的治療は?
A.クローン病治療の目的は、腸管の炎症を抑えて症状を鎮め、寛解に導くとともに栄養状態の改善を図り寛解状態を長期に継続することです。
このような寛解導入ならびに寛解維持には基本的に栄養療法と薬物療法を中心とした内科的治療が行われ、内科的治療で効果が得られない症状や合併症に対しては外科的治療が行われます。
栄養療法としては、活動期では主に栄養成分剤を用いた経腸栄養法や静脈から栄養剤を投与する完全中心静脈栄養法が行われ、寛解維持療法としては在宅経腸栄養法が行われます。
薬物療法としては、基準約として5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤が寛解導入ならびに寛解維持療法として使用されます。
ステロイド経口剤であるプレドニゾロンが用いられ、ステロイドが減少・中止できない場合には免疫調整薬が使用されます。
また5-ASA製剤やステロイドで改善が見られない場合や肛門部に病変がある患者さんには抗菌剤が用いられることもあります。このような治療薬で効果が見られない場合は、
血球成分除去療法やより強力な薬として抗TNF-a抗体製剤や抗IL12/23抗体製剤が選択されます。
また、腸管が狭くなる狭窄に対しては、内視鏡的バルーン拡張術が行われる場合もありますし、これらの治療法・治療薬で効果が得られない病変に対して手術が行われます。
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Q.服薬遵守を知っていますか?
A.クローン病は、再燃・再発を予防する為に長期にわたって薬の服用が必要です。
・重要なことは症状がない寛解期でも、医師の指示通りにきちんと服薬を守ることが、再燃・再発を予防し長期にわたって寛解を維持することにつながります。
・正確に服薬の状況を医師に話すことは、個々の患者さんに用いられる治療法の選択にも重要です。
・もし、飲み忘れが多かったり、錠数が多いと感じていたり、経腸栄養剤の服用が継続しづらい場合などは、医師と相談して服薬を継続できるような工夫をしてみることが大切です。
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Q.知っておきたい治療薬・治療法は?
A.●栄養療法…栄養療法は基本的には成分栄養剤(エレンタール)が用いられますが、消化態栄養剤(ツインライン)が用いられることもあります。
鼻から胃または十二指腸までチューブを通し、注入ポンプなどを用いて栄養剤を注入します。寛解期には成分栄養剤、消化態栄養剤あるいは半消化態栄養剤(ラコールなど)により1日の必要カロリーの約半分を摂取する、
在宅経腸栄養法が用いられます。
●薬物療法
①5-アミノサリチル酸(5-ASA)経口製剤…5ASAを有効成分とする薬で、腸管の炎症を抑えます。多くの患者さんは活動期の症状改善と寛解維持を目的に服用されています。
代表的な薬にメサラジン経口剤とゾスルスルファピリジン経口剤があります。
②ステロイド経口剤…ステロイド経口剤は、活動期の炎症を抑えて症状を改善する為に用いられます。ステロイド経口剤は全身的な作用により、炎症反応や免疫反応を強力に抑制するため高い効果が得られます。
しかし、長期に大量に使用すると副作用が問題となることから、効果が得られれば徐々に減量して投与を中止します。
また、寛解を維持する効果は認められていない為、寛解維持療法には使用されません。
③抗菌剤…5-アミノサリチル酸製剤やステロイド剤で効果が見られない場合や肛門周囲に膿がたまる(肛門周囲潰瘍)などの肛門部病変がある場合には抗菌剤(メトロニタゾールやシプロフロキサシンなど)が用いられることがあります。
④免疫調整薬…免疫調整薬は、もともと臓器移植時の拒絶反応の抑制や白血病などの治療薬として開発されましたが、クローン病の治療にも有効なことが明らかにされた事から、広く使用されるようになりました。主に国内で使用される免疫調整薬として、アザチオプリンやメルカルトプリンの経口剤があります。
⑤抗TNF-a抗体製剤…クローン病ではTNF‐aと呼ばれる炎症を引き起こす生体物質が過剰に作られています。このTNF-aの作用を中和するのが抗TNF-a抗体製剤です。
⑥抗IL12/23抗体製剤…クローン病ではインターロイキン(IL)12とIL23と呼ばれる炎症を引き起こす生体物質が過剰に作られています。
このIL12とIL23の作用を中和するのがIL12/23製剤です。
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Q.クローン病の外科的治療は?
A.クローン病の治療は内科的治療が基本となりますが、①狭窄に伴って腸が詰まってしまった場合(腸閉塞)や、②腸に孔が開く穿孔、③大量出血、④中毒性巨大結腸症などが現れた場合は緊急手術が必要となります。まだ、⑤癌の合併や、⑥難治性の狭窄、⑦膿瘍(腹腔内に膿がたまったもの)、⑧内瘻(腸管と腸管が孔でつながった場合など)、⑨外瘻(腸管と皮膚が孔でつながった場合など)、⑩小児の発育障害や、⑪内科的治療が効果を示さない場合も手術の対象になります。さらに、肛門周囲に膿が溜まる(肛門周囲膿瘍)や痛みを伴う排液が多い痔瘻などの肛門部病変も手術の対象になることがあります。
◎手術の方法…クローン病では病変部を手術により取り除いても、再度炎症が起き、新たな病変が生じること(再発)が多い為、できるだけ腸管を温存する手術法が用いられます。したがって手術は、基本的には症状の原因となっている腸管だけを切除する小範囲切除が行われ、狭窄部には腸管を温存するために狭窄形成術と呼ばれる術式が用いられます。
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