血便とは、消化管からの出血が便に混ざって排出される状態であり、様々な原因が考えられます。血便の色や性状によって、出血部位や原因疾患をある程度推測することができます。
血便
血便

血便とは、消化管からの出血が便に混ざって排出される状態であり、様々な原因が考えられます。血便の色や性状によって、出血部位や原因疾患をある程度推測することができます。
痔(いぼ痔・切れ痔・あな痔)
肛門周辺の出血が原因で、鮮血便やトイレットペーパーに血が付く症状が特徴で、日本人の約3人に1人が経験する一般的な疾患です。
痔には大きく分けて3種類あり、肛門の周りの血管が集まっている部分(肛門クッション)がうっ血し、こぶ状になったものをいぼ痔(痔核)、肛門の皮膚が切れた状態を切れ痔(裂肛)、肛門の奥にある肛門腺という部分に細菌が入り込み、膿がたまってトンネル状の管(瘻管)ができた状態をあな痔(痔瘻)といいます。
感染性腸炎
O-157やサルモネラ菌、腸管出血性大腸菌、カンピロバクターなどが原因で起こります。血便を伴う症例が多いです(腸管出血性大腸菌腸炎は50%以上)。
大腸ポリープ
大腸内に生じた腫瘍が排便時に損傷し、鮮血便を引き起こします。がん化リスクがあるため早期除去が必要です。
大腸がん
血便が唯一の症状となる場合も。日本では女性の死因第1位、男性第2位の疾患。早期発見には大腸内視鏡検査が必須です。
潰瘍性大腸炎・クローン病
免疫系の異常による大腸の炎症が原因で、粘血便や血液混じり下痢を伴います。症状は長期間に及ぶ場合が多く、10代や20代の若年から発症しやすい病気です。
虚血性腸炎
大腸の血流障害により出血が生じます。動脈硬化が進展しやすい高齢者や便秘の多い人に多い病気です。比較的急な発症で、下痢を伴う場合も多いです。
大腸憩室出血
大腸の袋状突出部から出血する疾患。高齢者で頻度が高くなっています。突然発症する場合が多いです。
粘膜脱症候群
腸や肛門周囲の粘膜が慢性的な便排出時のいきみによって脱出し、その結果として粘膜の炎症、びらん、潰瘍、出血などを引き起こす疾患群です。
小腸病変
頻度は少ないですが、小腸から出血する場合があります。小腸血管奇形、小腸静脈瘤、小腸腫瘍、クローン病、感染症、小腸潰瘍、遺伝性疾患などが原因として挙げられます。
薬剤性消化管粘膜障害
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、低用量アスピリン、副腎皮質ホルモン(ステロイド)、抗菌薬、抗がん剤などは消化管粘膜障害をきたし、血便の原因となります。
※「痔だろう」と自己判断せず、早期に検査を受けることが大切です。大腸がんは初期段階で症状がなく、血便が唯一のサインになる場合もあります。
鮮血便
粘血便
タール便
腹痛、吐き気や下痢
便秘や下痢
体重減少、貧血症状(めまい・ふらつき・動悸など)
残便感
問診
血便の色や量、性状、腹痛や便通異常などの随伴症状、既往歴、服薬歴などを詳しく確認します。
視診・触診
肛門周囲の状態を観察し、痔核や裂肛の有無、腹部の腫瘤や圧痛などを確認します。直腸指診では、直腸内の状態を触診で確認します。
細菌やウイルスなどの感染性腸炎の原因となる病原体の有無を調べます。
出血による貧血の程度を調べます。
炎症性腸疾患や感染性腸炎などの炎症の程度を調べます。
大腸がんなどの腫瘍の存在を示唆する物質の有無を調べます。
大腸カメラより短い範囲の観察になります。
黒色便(タール便)など、上部消化管からの出血が疑われる場合に行います。
胃内視鏡検査や大腸内視鏡検査でも明らかな出血源が特定されず、その後も出血を繰り返す場合に行う場合があります。
小腸内視鏡検査と同じく、胃内視鏡検査や大腸内視鏡検査でも明らかな出血源が特定されず、その後も出血を繰り返す場合に行う場合があります。
大腸がんや炎症性腸疾患などの病変の有無や広がりを調べます。
腹部の臓器の状態を観察し、腫瘍や炎症の有無を調べます。
胃内視鏡検査や大腸内視鏡検査でも明らかな出血源が特定されず、造影CTで小腸の出血が疑われる場合。止血治療も可能なため、緊急時に行われます。
血便の治療法は、原因となる疾患によって大きく異なります。以下に、代表的な疾患とその治療法について説明します。
大腸内視鏡検査中にポリープや早期がんを切除します。ほとんどの場合、この治療で完治します。
がんの進行度に応じて、腸の一部または全部を切除します。
手術後の再発予防や、進行がんの進行抑制のために行われます。
直腸がんなどで、手術前にがんを小さくしたり、手術後の再発予防のために行われることがあります。
ステロイド、免疫調節薬、生物学的製剤などを用いて、炎症を抑えます。
症状に合わせて、消化の良い食事や栄養バランスの取れた食事を摂ります。
薬物療法で改善しない場合や、合併症が起きた場合に行われます。
細菌性腸炎の場合は、抗生物質が使用されることがあります。下痢止めや整腸剤などで、症状を緩和します。
脱水症状がひどい場合は、点滴で水分や電解質を補給します。
胃酸分泌抑制薬や粘膜保護薬などを用いて、潰瘍の治癒を促します。ヘリコバクター・ピロリ菌感染が認められる場合は、除菌治療を行います。
出血が多い場合は内視鏡で止血を行います。
出血部位を内視鏡で確認し、止血処置を行います。
出血が多い場合は内視鏡で止血を行います。
大量出血や、止血困難な場合は手術を行う場合があります。
出血動脈にカテーテルを挿入し、塞栓物質で止血します。
まず疑われる原因薬剤を中止します。その後出血の程度により、絶食、点滴治療や内視鏡精査を行います。
スパイス・アルコール・カフェイン・脂っこい食事を控え、腸内環境を整えるようにしましょう。
野菜・果物で食物繊維を摂取し、便通を良くしましょう。
生ものは加熱調理し、乳製品は乳糖不耐症の場合避けましょう。
就寝・起床時間を固定し、便通を我慢しないようにしましょう。
消化促進とストレス軽減のため、無理のない運動を継続しましょう。
仕事・人間関係のバランスを取り、睡眠不足を避けましょう
大腸内視鏡検査で憩室・がんを早期発見
血便が持続する場合や体重減少・便の細さがある場合は消化器内科受診
オートミールやキノコなど腸内環境を整える食材を摂取しましょう。
便秘予防には有効だが過剰摂取は逆効果のため、野菜は150g/日、果物は50g/日を目安に。
便通を良くするため1日1.5L以上を目標に。
ヨーグルトや乳酸菌飲料で腸内環境を整えましょう。
数時間は食事・運動を控え、症状観察。なるべく安静を保ちましょう。
飲食・便の状態、排便回数を記録し、医師とのコミュニケーションに活用
大量出血・激しい腹痛・発熱を伴う場合は、直ちに救急外来を受診しましょう。
通常の症状(少量出血・軽度の腹痛)では消化器内科や肛門科を受診しましょう。
原因を特定するため、必ず受診しましょう。
血便が一時的に止まったとしても、悪性疾患(大腸がんなど)の可能性を否定できません。特に50歳以上・体重減少・便の細さなどのリスク要因がある場合は、必ず内視鏡検査を受ける必要があります。
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